コロナウイルスが騒がれはじめたころ面会一時制限が始まった。そのころからは想像できないほど長期の面会制限が続いている。
早期の終息を願うが、しばらくはこの状況が続きそうである。施設として厳しい選択をしなければならず、心苦しい。
対策として、窓越し面会を居室窓から実施していたが、ご家族側には屋根もなく、まさに仮設といった雰囲気。
今後もコロナ禍が長引くことを考え、しっかりとした面会スペースを設けることとなった。
あゆみ棟の洗面所を会場にすべく、職員総出で大掃除。
利用者さん、家族さんの笑顔を思い浮かべながら、半日かけて行った。
古い施設なので、ピカピカにとはいかないが
私たちの気持ちを伝えることができるまでには、整えることができたのではないだろうか。
きれいになったスペースを見る。
が、しかし、やはりそこには、両者を隔てるガラスがあった。
たった1枚。されど1枚。
これほどガラス窓の存在を、その厚さを感じたことはない。
せっかく会えた、それはもちろん嬉しいが、目の前にいるからこそ触れ合うことができないもどかしさに
『もっとそばにおいで』
面会終わりに「もう帰るわ」と、さよならを言う家族さんに
『いわないで』
そう言いたげな利用者さんの寂しそうな表情
私たち職員は、その利用者さんに
『泣かないで』と言うしかないのが現状だ。
それでも、せめて落ち着いた空間で、ガラスを越えて、互いの想いが届くような、そんな時間であることを願う。
そして、ローラースケートにのった「光るテンシ」が、ワクチンを持ってきてくれることを心待ちにしている。